代理出産が認められている国の実情は?
2008-04-04


リンダさんは、友人関係を続ける努力をしたといいます。

 イギリスでも,出産と同時に依頼者が母親となるものではない,ということだ。このことは,遺伝子が依頼者のものだから依頼者夫婦との間の親子関係を直ちに認めるべきだ,とする人たちには特に強調しておきたい。  

 それにしても,子どもを引き取らせてもらえるために続ける努力をする友人関係って,いかがなものなんだろう?

彼女が話した言葉の重みは、代理出産を支援する団体の会合に通うと、さらに実感できました。

中に、涙ぐむ女性が居ました。彼女は、「代理母」の側でした。

妊娠したわけでもないのに、代理出産をするためには薬を飲んだりして、体調が悪いのだといいます。

さらに、「困っている旦那の親戚に依頼されたから断れなかった」、「でも旦那は複雑な表情をする」・・・そう話し、いかに大変な作業かを語ってくれました。

他にも「人生で自分の出産より遥かに大変だった」という人も居ました。

英国は日本に比べるとイエ制度の縛りなどが薄いと思っていたが,それでもやはり,「旦那の親戚」からの依頼となると断れないものなのか。 日本ではイエによる圧力が更に強力なものとしてかかってくるのではないだろうか。代理出産の「試行」を仮に認めるとしても,親族間での腹の貸し借りは認めるべきでないだろう。

それにしても,「旦那」っていう訳,ジェンダー的に問題あるのでは?何で「夫」と訳さなかったのだろう?

営利目的でない代理出産というが,対価無しに他人のために妊娠・出産のリスクを冒す他人ってどんな人なんだろうか。結局,親族などの関係にある人が周りの圧力から引き受ける場合くらいしか考えられないのではないか。現に,代理出産を日本で手がけている根津医師が呼びかけたボランティアも,代理出産に伴う危険性を告知された途端応募者がゼロになったではないか。

非営利での代理出産についても,周囲の圧力が働く危険が大きいということを考えれば,禁止すべきであろう。

ところで上記の日本テレビの記事,取材はなかなかよくできていると思うのだが,評価の部分になると以下のように,代理出産依頼者の側に偏った見方になるのが残念だ。

英国の代理出産制度は進んでいるといわれていますが、それでも多くの問題点や悩みを抱えていると感じました。

1)依頼する側と依頼される側の間に法的拘束力はなくトラブルになる可能性が残っていること

2)補助制度が整っていない   など・・・まだ不備があります。

依頼される側に対する拘束力を課すのがよいとでも思っているのだろうか。十月十日にわたって体内で育んできた子どもを引き渡さなければならない代理出産者の気持ちには心が及ばないのだろうか?

また、アメリカと違って「商業主義」を禁止しているからこそ、

「必要経費」以外は負担しなくてよいとされていますが、

完全に依頼者目線だな。

こうしたことは日本では、まだまだ先のことかもしれません。法律や制度も違います。

ただ、代理出産で生まれた子供、代理母、依頼した母、の3者の「笑顔」を見て感じたこと;

それは素朴に同じ女性として、「選択肢」があるのはいいことではないか、ということでした。

冒頭で挙げた米国発の記事など見ると,代理母は,「選択肢」が与えられている者というよりもむしろ,依頼者に,代理懐胎の依頼という「選択肢」を提供させられている者ではないか。この記事を書いた記者は,自分や家族が貧困や家族の圧力によって「選択肢」を提供させられる側に回るということは考えないのだろうか。

代理出産については,メディアの報道では子どもを持てない女性の立場からのものが目立つように感じる。しかし実際に代理出産を行う人の立場はどのようなものか,なぜ代理出産を引き受けるようになるのか,といった観点からの報道がきちんとなされていくべきではないだろうか。


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