代理出産と戸籍上の取扱い
2007-01-11


今日の毎日新聞の「記者の目」に,代理出産等についての法整備の必要性を説く記事が載っていました(記者の目:不妊治療 統一ルール作り急務(永山悦子)。)。

代理出産自体の可否について私自身は,国外で行った場合も処罰する規定を併せて設けた上で,刑罰付きで禁止すべきだと考えています(国民について国外で行った犯罪を処罰する例としては,児童買春防止法第10条があります。)。

ただ,禁止しても実際に行う男女が出てくることはありうるでしょう。その場合戸籍上どう取り扱ったらよいのでしょうか?

生まれてきた子どもには罪がないから実子としての届出を認めるべきだ,とか,父母として届け出た者の精子と卵子を使っていれば実子として扱うのが遺伝子との整合性から妥当だ,という趣旨の意見を見たことがありますが,納得できません。

代理出産を依頼した男女というのは,

他人の身体を自らの欲望達成の手段として利用することをいとわなかった人(たち)

です。こんな人(たち)に子どもの養育を任せていいのかどうか,子どももまた父母となろうとする人の欲望達成の手段にいいように使われることがないかどうか,慎重に判断するべきではないでしょうか。特別養子同様,親子関係を認めるに当たっての待機期間を設けることが妥当なように思います。

依頼者である男女が親としてふさわしくないが,代理出産者も養育を拒否するという場合には,社会で育てる方策を考えるしかないでしょう。

遺伝的に依頼者である男女の実子として扱うのが自然という見解については,遺伝子が全てなのか?という疑問があります。分娩という事実はそんなに軽いものなのか,とも。

子の福祉上,養子というのが戸籍上残るのが望ましくないというのであれば,特別養子同様の救済制度を設けて戸籍に養子という記載が残らないようにするという方法で解決すべき問題のように思います(もしくは,特別養子制度を拡張して適用する。)。

代理出産については現在日本学術会議においてその是非について検討中とのことですが,仮に代理出産を容認するにしても,代理出産が他人の身体を欲望達成の手段として使うものであることには変わりないのですから,実子としての届出を直ちに認めるという扱いはすべきでありません。

[高度医療・精神医療]
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