司法制度改革審議会で中坊委員や久保井会長が3000人を受け入れたのはいわば敗戦処理だという見方があるようです。
敗戦処理というと野球の試合を思い浮かべてしまい,やむを得ないか・・と思ってしまいがちですが,果たしてそれはどうか?と思います。
同じ敗色濃厚な試合でも,サッカーのリーグ戦であれば,リーグ戦全試合を通じての得失点差のことなどを考えると,少しでも負けを挽回することが要求されます。捨て試合として手を抜くことは後に禍根を残します。
では当時の日弁連執行部の対応はどうだったのでしょうか?
2000年に,当時の久保井日弁連会長が司法制度改革審議会に出席した時の議事録を見たところ,以下のようなやりとりが見つかりました。
【山本委員】非常に素朴な質問なのですけれども、久保井会長にお聞きします。確かに今度の議論は司法の容量をうんと増やそうということで、これはだれも異論はないのですが、率直に申し上げて、急激な増加ということについて、多少の危惧を持っているのです。増加の幅というのはこの間議論されたようなことになるのですけれども、ずっと750 人で来た体制が一気に4倍になるわけですね。多少の条件整備等は置くわけですけれども、久保井会長から御覧になって、現実問題として、これまでの例えば過疎地域というのは、増える方向で推移してきていますね。これがいろんな手立てをやるわけですけれども、これからの日本の地域社会の在り方を見ると、例えば、規制緩和が進んでいきますと、かなり中規模の都市でも、郊外に大きなスーパーができると、商店街が全滅するというふうな現象が実はあるわけです。そういったこれからの社会経済の発展方向を考えたときに、弁護士さんの仕事という面で、過疎地区が多少解消される方向に経済社会は動いていくのだろうかという疑問があるんです。先ほど行政指導とおっしゃられましたけれども、行政指導を幾らされても無理なことはやはり無理じゃないかという気持ちがあるのですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
それから、過疎地区以外でも、いろんな資料を拝見しますと、弁護士の受任率というのは、都市部でもそんなに上がっていないと。こういった問題が、例えば、今議論されている司法の透明化とか、できるだけ広告をするとかいう手段をこれからやるわけですが、これが飛躍的に上がっていくのかどうか。極めて劇的に、ドラスティックに上がっていくものかどうか。我々が今議論しているのは4倍という法曹人口を議論しているわけですから、そういったことについてどうお考えでしょうか。
【佐藤会長】今は既に1,000 人。
【山本委員】1,000 人というのは、ついこの間で、3倍でもいいですが、そういうところが気になるんです。
もう一つは、これも鶏と卵なのですけれども、弁護士さんの数というのは、今これからも議論されなきゃいけないんですけれども、隣接職種の問題ですとか、言われている30条の問題ですとか、72条の問題、いろいろあるわけです。3,000 人という増員について、最初に申し上げたように、社会経済の流れを踏まえて、久保井会長御自身の実務の経験に照らしたときにどうなのか。加えて、今申し上げた仕組みとの関係ではどういうふうにお考えか。その2点についてお聞かせいただければと思います。
【日弁連(久保井会長)】先般の集中審議で、21世紀の法曹人口について、3,000 という数字をお出しいただいたということについては、これは弁護士会としても、国民の声をくみ上げた結果お出しになった数字として、これを真摯に受け止めなければならないと。そして、これを積極的に受け入れていかなければいかぬというふうに私としては思っています。
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